
こんにちは!敦賀・美浜・三方(嶺南地域)の”情熱人”を紹介するサイト「とんびさん編集部」の矢野・佐々木です。
今回ご紹介するのは、若狭熊川宿の彫刻作家 新野佑一(にいのゆういち)さん!
勝手なイメージで申し訳ないけど、話弾まんかったらどうしよう・・・。
結論から言うと、めっちゃええ人でした!!
世間一般的な生き方とは違う「彫刻」という道。
どうしてその道に進んだのか?
具体的にどんなものを作ってるの?
大事にしている想いは何?
謎のヴェールに包まれた職人道を紐解いていきます!
18歳から彫刻の道へ!そのきっかけは?

↑彫刻刀の持ち方を披露してくれる新野さん
大した理由じゃないっすよ 笑
時間通りいくのが(人に決められた時間で生きるのが)僕は嫌やったから、進路も決めてなかったんですよね。
で、この先何しようかなと思っとって。
その時あんまり芸術とか理解できなくて、なら逆に理解できんものをやってみようと思って。
いろいろ見ていく中で、格好いいと思えるのが欄間(らんま)彫刻やったんですよ。
敦賀工業高校では建築科だった新野さん。
「木を使う」という共通項があったこと。そして、当時お世話になっていた親戚のおじさんの家に欄間があったことから、木彫り彫刻にピンと来たそうです。
そこからなんと、おじさんが持っていた雑誌の後ろの方に書かれていた「井波彫刻(富山県)」に自ら連絡。彫刻の学校に通い始めます。
しばらくして連れて行かれたのが、修行先となる親方(野原湛水師)の元。
そこで初めて「だんじり彫刻」に触れ、5年間の修行と1年間の御礼奉公の後に独立します。
そう、新野さんがメインで作っているのは「だんじり」!!
※↑新野彫刻店ホームページより
※↑こういうパーツを沢山組み合わせてだんじりを作り上げます。1台の制作期間は約2年。
元々は人ギライ、仙人みたいな暮らしがしたかった
高校生くらいの時って「アイツが嫌いや」とか「こいつがムカつく」とか言い合うじゃないですか。そんなんが嫌で。
「ごちゃごちゃした人間関係から離れて一人で住む。山の中で。仙人みたいな暮らしがしたいです」
って言ったら、「バカヤロウ、一人で生きていけると思うなよ」って言われました。笑
彫刻の道に進んでからも、しばらくは「とりあえず人間の世界に揉まれて、技術だけ盗んでしまえば後は一人で暮らしていける」と思っていたんだそう。
しかし彫刻修行をしていく中で、親方や他の職人さんたちとの(ぶつかりも含めた)コミュニケーションを経験し、「やっぱり”誰とも関わらない”という姿勢はアカンな」と感じてきたそうです。
新野さんの場合、お客さんがどうやって来るのかよく分からんというか。
どうやって生きてるんやろう?と思うんですけど。
やっぱり、(仕事の依頼は)人間関係からじゃないですか?笑
僕を生かしてくれるのは「人」なんで。
結局いくら技術があっても、人に知ってもらわないと意味ないですからね。
今は、僕の腕を気に入ってくれた人の紹介だけで仕事いただいている感じですね。
いくら凝ったものを独りよがりで作っても、結局細かいだけとか、キレイなだけとかで、お客さんが欲しくならないんですよね。
そういうもの(お客さんの心の琴線に触れるものづくり)を勉強するには、やっぱり人と接しないと分からないのかなって。
人付き合いから離れようとして彫刻の道を選んだ新野さん。
ですがその先には、彫刻を通した人間理解の場がありました。
最初はひたすら技術を追い求め、上手に細工することばかりに意識を向けていましたが、何かしっくりこない・・・と納得できなかったそうです。
何が足りないのか・・・?
自問自答を続けていく中で悟ったのが「人と向き合い、理解すること」でした。
技術の高さはもちろんのこと、お客様の心の中にある、人それぞれ違う「美」を彫刻に宿すことこそが、理想型だと気付いたのです。
人と向き合い、人に生かされていることを感じ、人のために彫るようになった新野さん。
今では2人のお弟子さんと一緒に、彫刻を通して「人の澄んだ心を引き出す」ことを生業にされています!!
新野彫刻さんの作品の一部を紹介!
だんじり彫刻をメインにされている新野彫刻店さんですが、一般の方からのご要望があればオーダーメイドで彫ってくれます。
【作品①】熊川にある神社の鳥居(名前が彫ってある額縁)
【作品②】壁掛けレリーフ
【作品③】置物たち
【作品④】根付け
【作品⑤】お店の看板
他にも過去には、
●似顔絵ならぬ似顔彫刻
●マタニティフォトならぬマタニティ彫刻
●象牙や鹿の骨に彫刻を施した根付けや指輪
などのオーダーがあったそうです。
「大切な人との記念を彫刻で残す」というのも素敵な選択肢ですね!
彫っている様子を撮らせてくれました。↓↓
あとは眼鏡フレーム作ってみたいですね。手彫りで。
なんかこう・・・ねぇ、多くの人が使えるようなものに彫刻が入れば面白いかなと思って。
そこですよね。
ゼロからモノを作る面白さ・個性を楽しんでほしい

↑彫刻教室の生徒さんが彫っている最中の作品。
それがきっかけで彫刻教室をやるようになったんですよ。
みなさん自分の好きなモチーフを、自分のペースで彫って楽しんでます。
1個作るのに3年かけてる人もいますね。
小さめのお地蔵さんを半日~1日くらいで彫れる体験ができたら楽しいのかな、と。親子で好きな表情彫ったりして。
色塗ってもいいですし。
「モノができるまでにどのくらい手がかかるのか?」を体験して、愛着持ってもらいたいですね。
機械で同じものを大量生産。そして安く出回る品物に囲まれた今の子供たちに、オリジナルのものを持つ喜びを感じてもらいたいと語る新野さん。
ゼロから人の手で作ることで、その人の想いや性質が反映されて唯一のものができる。そこに面白みが詰まっているそうです。
量産品が溢れ、モノを大事にする意識が薄れている今。(地方の特色が出ない、チェーン展開のお店がメインになっている嶺南でもその傾向があるかも!)
彫刻を通じて、「人の手の温もりが感じられるものづくり」を体験してみてはいかがでしょうか?
若狭町熊川宿 新野彫刻店へのアクセス
住所 | 福井県三方上中郡若狭町熊川33-10 |
電話番号 | 0770-68-8007 |
ホームページURL | https://www.niinochoukoku.com/ |
営業時間 | 月~土/9:00~19:00 ※日曜はお問い合わせください |
平均予算 | 見学無料 彫刻体験は1500円~ |
平均滞在時間 | いくらでも |
席数 | 5席 |
お子さま・ペットについて | お子さまOK |
主な利用シーン | 彫刻体験・ひまつぶし・オーダーメイド |
彫刻師の新野佑一さん、どうもありがとうございました!